TECHNICAL COLUMN / 照明

複数の角度から光を当てる理由 — 傷と反射を見分ける照明設計

同じ傷でも、照明の角度で見え方は変わります。方向ごとに光を比較し、背景の模様と検査したい特徴を分ける考え方。

照明
複数方向の光の比較手順
光の方向を分けて比較し、特徴と背景のコントラストを確認する。概念図:実測結果や性能を示すものではありません

傷が写らないとき、光を強くする前に試したいのが「当てる方向を変えること」です。金属や鏡面では、光がカメラへ返る方向によって、同じ表面が明るくも暗くも見えます。

一方向では、見えない特徴がある

平滑な面は一定の方向へ強く光を返します。傷や小さな凹凸がある場所では、光が返る方向が周囲と変わります。その差をカメラが捉えられる位置関係にすると、傷のコントラストが生まれます。

傷の向きによっても見え方は変わります。ある方向の光で見える傷が、別の方向では目立たなくなる場合があります。一つのサンプル、一つの方向だけで条件を決めないことが大切です。

高角度・同軸・側方を比べる

高角度から照らした金属表面

高角度

斜め上から照らし、平面と凹凸の差を確認。

同軸方向から照らした金属表面

同軸

平滑な面からカメラへ返る反射を利用。

側方から照らした金属表面

側方

低い角度から、傷や段差の縁を強調。

まず方向を分けて撮ると、見たい特徴がどの光で現れるかを把握できます。写真は当社の既存掲載例です。材質や表面処理が変わると、同じ方向でも異なる像になります。

組み合わせは、明るさの足し算だけではない

複数方向の光を調整すると、背景の模様を弱めながら傷を残せる場合があります。反対に、全方向を強く照らすと陰影が埋まり、傷が見えにくくなることもあります。

大切なのは「光の数」ではなく、残したい特徴と抑えたい模様のコントラストです。

ハイブリッド照明の仕組みと撮影例では、3方向の光を使った金属表面の例を紹介しています。同時照射と、複数画像をソフトウェアで合成する処理は区別して検討します。

条件を一つずつ変え、良品でも確認する

  1. 良品と傷のあるサンプルを用意し、位置と撮影範囲をそろえる。
  2. カメラの露光・ゲインを固定し、照明の方向ごとに撮影する。
  3. 有効な方向を選び、明るさの比率を調整する。
  4. 別方向の傷や、良品の表面模様でも確認する。
  5. 照明出力・撮影距離・露光条件を記録する。

方向を変えて明るさが大きく違う場合は、飽和や暗すぎる画像を避けて再比較し、変更した設定を残します。比較条件の整理も参照してください。

明るさを調整し、条件を再現する

光の方向ごとに出力を管理できる電源は、条件づくりを支えます。当社の4ch電源では手元での調整とPCからの外部操作を選べます。カメラ方式はラインスキャンとエリアスキャンの記事で、それぞれ整理しています。

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